ニュージャージー日本語キリスト教会の皆さん、震災以来の継続的なご支援に心より感謝申し上げます。未曾有の危機に直面し、戸惑い、疲労しながら必死で堪えてきた松田牧師とオアシスチャペルにとって、錦織先生およびニュージャージーの皆さんとの出会いは、何より大きな助けとなりました。9.11と3.11。違いがたくさんありますが、似ているところもたくさんあります。ニュージャージー日本語キリスト教会とオアシスチャペルは、大きな被害を受けた地域のただ中に置かれた教会として、同じような痛みや困難、悩みや葛藤を分かち合える『友』とされたのだと思います。松田牧師が錦織先生と出会った頃に語っていたことばが、私の胸に印象深く刻まれています。
「被災した今の自分の状況、大変さをぜんぶ分かってくれたように感じた。そのような人にはじめて出会った。とても有り難かった。」
現在の東北の状況を知り得る範囲でお分かちしたいと思います。
震災当時47万人にのぼった避難者の数は、2014年1月現在、約27万4千人となりました。仮設住宅にいまだに約10万人の方々が生活されています。災害公営住宅の着工・完成が遅れています。ある地域では3年、別の地域では4、5年かかるとも言われています。津波により生じた瓦礫が、いまだに片付いていない地域もあります。宮城、岩手では2014年の春、福島では2015年の春が政府発表による完全撤去の目処となっています(復興庁www.reconstruction.go.jp 「復興の現状と取り組み」参照)。
震災から3年。大きな支援団体が働きをどんどん縮小して撤退していきました。メディアに取り上げられる頻度は下がり、被災地を訪れる人々の数も減りました。震災前からの課題である「過疎」に拍車がかかっている沿岸地域もたくさんあります。「忘れられてしまうのでは・・・」という新たな不安が被災地を覆っています。
様々な領域における「ギャップ」が広がっています。被災地と被災地「外」のギャップ。沿岸部と内陸部のギャップ。復興が進んでいる地域とそうでない地域のギャップ。活動が活発な仮設住宅と、そうでない仮設住宅のギャップ。在宅の被災者の方々と家を失った方々のギャップ。復興プロセスの中でも様々なギャップが生じ、広がっているように思います。
また、あれほどの大災害でしたから、被災した方々は心に深く、大きな傷を負いました。生活も一変しました。経済や環境、状況に余裕があるときには感じなかったようなストレスや悪感情に苛まれている方々がたくさんおられます。上述の「ギャップ」も苦しみを大きくします。人間関係の破壊が起こりがちです。これから先、5年、10年を生きていくための希望や力をどこから見いだせばよいのか? 心すこやかに生きていくこと自体が、大変なチャレンジです。
ニーズ、課題が多様化しています。物資に困っているところもあれば、心のケアを必要としている人々もいます。経済立て直しの知恵が必要とされているところ、コミュニケーションや人間関係に助けが必要なところ、教育の課題、住宅の課題、原発エネルギーの課題、復興遅延ストレスの広がり・・・。
小さな私たちに出来ることは限られていますが、神様が私たちにどのような実を実らせたいと考えておられるか、注意深く求めながら歩ませていただきたいと考えています。
復興への歩みは10年単位、まだまだ先の長い道のりとなります。これから先、特に遠方にいらっしゃる皆様には「東北を覚え続けていただくこと」が大きな助けになると考えています。『覚え続ける』取り組みです。大きなインパクトをもたらした東日本大震災ですが、情報過多の時代に『覚え続ける』ことは至難のわざで、気を抜くとあっという間に風化してしまうのではないかと感じます。風化防止のために5年、10年といった長いスパンで『覚え続ける』ことが大切なのですが、たくさんの方々に息の長い関わり方を模索していただくために『資源ベースの支援』をお勧めしています。
震災発生当時はニーズがシンプルでした(生き延びるための水や食料、衣服や毛布、避難する場所、医療環境など)。緊急支援の期間であり、自衛隊や救援団体、医師や技術者などの専門技術を持った方々が活躍しました。被災地、被災者からのニーズを中心とした要請とそれを受けた支援活動がマッチした期間です。世界中からたくさんの感謝なご支援をいただきました。このような支援を『ニーズベースの支援』と呼びたいと思います。すばらしい助け方です。しかし、こうした支援状況はやがて終息していきます。支援したいと考えている人たちが山ほどおり「どのような支援をするか」がより重要だった時期は過ぎ、「どのような支援でもいいから、継続すること」の価値が高まっていきます。これからは、たとえ専門技術を持っていなくても、あきらめずに関わりを継続しようとする人々が求められます(教会がより力を発揮できる時がやって来たと感じています)。
さて、そのような「継続すること」に主眼を置いた支援を行うために、『資源ベースの支援』がとても有効です。支援する側の人々が元々持っているものや強みを活かした支援です。どこかから手に入れてきたり、新しく勉強したりしなくても出来る支援です。
一例を挙げますと、音楽が盛んでトップクラスの実力を誇るクワイアを擁するアメリカのある教会は、震災を受けて、そのクワイアを10年間、日本に派遣し続けることを決めたそうです。外国からの歌の支援は、震災発生当初はあまり大きな効果を期待出来なかったかもしれません。しかし音楽を用いたこの支援は現在も継続されていますし、今後も続いていきます。この息の長い支援の価値は、これからどんどん高まっていくはずです。彼らならではの資源を活かしたすばらしい支援です。
神様がニュージャージー日本語キリスト教会にお与えになった資源には、どのようなものがあるでしょうか? 冒頭に錦織先生と松田牧師の出会いについて記させていただきましたが、9.11を巡る貴重な経験や痛みは、多くの人々を助けるために備えられた皆様ならではの貴重な資源のひとつなのではないかと思います。
あの震災から3年が経ちました。皆さんが経験された9.11からの3年後はどのような日々を送っておられたのでしょうか? ちょうど10年前(2004年頃)、皆さんは何を感じ、どのような生活をしておられたのでしょうか? どのようなことから慰め、励ましを受けておられたのでしょうか? 時が経つにつれて、心や体、霊的な領域にどのような変化が起こってくるものなのでしょうか?
大変な危機的状況に置かれ、しかし立ち上がり、立ち続けてきた皆さんのご経験や証しに、私たちは大きな関心を持っています。成功も失敗も、恵みも痛みも分かち合ってくださるならば、大きな助けになると感じています。
善を行うのに飽いてはいけません。失望せずにいれば、時期が来て、刈り取ることになります。ですから、私たちは、機会のあるたびに、すべての人に対して、特に信仰の家族の人たちに善を行いましょう。(ガラテヤ 6:9-10)
今後とも、信仰の家族としてのお付き合いをどうぞよろしくお願いいたします。神様が結び合わせてくださった皆さんとの関係を感謝いたします。皆さんの存在は、私たちの励ましであり、希望です。心からの感謝を込めて・・・。

月報2014年3~4月号より